今日の買い物

リアル 9 (ヤングジャンプコミックス)

リアル 9 (ヤングジャンプコミックス)

クロスゲーム 16 (少年サンデーコミックス)

クロスゲーム 16 (少年サンデーコミックス)

QあんどA 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)

QあんどA 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)


Fwd:〈トクナガ・ジュン〉の都市伝説、知ってる?
徳永を巡って抗争状態となり、捜索隊を襲い始める五大自警団。明らかになるトウコの秘密。笹浦たちは自警団のひとつ〈遊動〉と人生を賭けた勝負をする。 伊隅とホノカはそれぞれの目的のために、ファブリと連絡を取り始めて――

唐突な展開が多く、伏線撒き散らし巻。
多分叙述入ってんなぁ。

曲矢さんのエア彼氏 2 (ガガガ文庫)

曲矢さんのエア彼氏 2 (ガガガ文庫)


曲矢サンノが俺の彼女・杏子を拉致したと言い始めた。
は?意味不明。そこに現れたクラスメイトの小沢そよ子は「私が杏子だよ?」と言い張る。
意味不明2号!曲矢は杏子(の魂?)をさらって小沢の体に監禁したと言いたいらしい。
んなわけ……ってオイ乗っかってくんな、小沢!お前のことよく知らねーし。
俺は普通に杏子に会いたいのに!叫びもむなしく、謎は増す。曲矢の前に現れたスポ根美少女4人組。
乃々乃は言う。「サンノはJAPAN代表の候補だったのよ」。何の?
エアの? ――本作はJAPAN代表ラブコメです。

中村九郎先生の進化は止まらない。
全体の構成が凄い良くなってる。あとがきのレベルもww
会話の噛み合わなさ、エアの表現、謎の組織の正体も素晴らしい。
九郎先生初の3巻目が出るのも確定っぽいのでwktkで全裸待機だぜ。
宣伝のつもりで今年最高の褒めちぎり(エア1巻の)を貼っておこう。

460 名前: 435 
「曲矢さんのエア彼氏〜木村くんのエア彼女〜」 
(著者・中村九郎/イラスト・うき/ガガガ文庫) 

一年は52万5600分 
この大切な52万5600分を 
あなたは何で数える? 
朝日の数?夕日の数? 
飲んだコーヒーの数? 
笑った数?争った数? 
この52万5600分という時を 
例えば……愛で数えてみてはどうだろう? 
(「RENT」Seasons of Loveより) 


「空想の恋人を作ったことがない」という人は恐らくいないだろう。 
彼(彼女)らはいつも優しく、美しく、こちらの要求に従うかのように、突き放したりも抱き締めてくれたりもする。 
決して触れられないが、常に感じていられる。 
この空想の恋人とのふれあいは、どうしようもなく楽しい。 
本作のヒロイン、曲矢(まがりや)サンノもそんな空想の恋人(エア彼氏)と何気ない日常を過ごしている普通の女の子である。 
そして主人公の木村カントは、思い描いている本人にしか見えないはずの他人のエア恋人が見えてしまう特異体質の少年だった。 

さて、ここであえていきなりネタバレを。 
本作をこれから楽しむ予定の方は今すぐアプリケーションを終了するなり別のサイトにアクセスして頂きたい。 
結論から言うと、カントが当たり前に人間だと思っていた者たちの多くは誰かのエア恋人だったのだ。 
「存在しないものが見える主人公」「大半はその存在しない者たちだった」 
こんな書き方をしてしまうと映画シックスセンスを連想される方も多いだろう。 
実際、オチもよく似ているし、作中で登場人物たちが「なんだかシックスセンスみたいな展開だね」とわざわざ突っ込みまで入れている。 
盗作疑惑を回避するために張られた予防線なのかもしれないが、私は作者の中村九郎氏に、そんな心配はしなくていいと伝えたい。 
あんな子役の顔がおもしろいだけのライトホラーと本作が酷似してるなどと言う輩はカウンセリングでも受けることを強くすすめる。 

461 名前: イラストに騙された名無しさん 
この作品のテーマが「人生の肯定」であることは明らかだ。 
物語は真夜中の街で、一人、見えない敵と戦っている曲矢サンノを木村カントが目撃するところからはじまる。 
見えない敵とは何かの比喩ではなく、カントの目には映らないだけであって、サンノには「それ」がはっきりと認識されており、 
彼女はエア仮面を被りエア武器を構え、日夜、見えない敵(どうやら騎馬兵らしい)と戦っていた。 
しかし、エア装備で見えない敵と戦うサンノの姿は、カントの目には奇妙な踊りを踊っている変人にしか映らなかった。 
この滑稽ですらあるシークエンスで作者の中村氏は読者にこう問いかけているのだ。 
「彼女を見て、きみはどう思う?」 
熱心に探さなくとも、世の中には見えない敵と戦っている人は大勢いる。 
テレビで、ネットで、身近で、一体お前は何と戦っているんだ? 
と疑問符をぶつけたくなる衝動にかられた経験は誰にでもあるだろう。 
悲しいかな、私たちは誰かに自分のことをよく知ってほしいと願っている反面、他者に対してはあまりにも無関心だ。 
別に無理やり誰かに興味を持てとか、相手の素性を丸裸にしろと言っているのではない。 
誰かに嫌悪感を抱いたとき、ほんの少しでいいから見る角度を変えてみてはどうだろうと、本作は提案しているのだ。 
あなたが醜い老婆だと思っていたそれは、もしかしたら帽子を被った美しい女性かもしれないのだから。 

462 名前: イラストに騙された名無しさん 
そしてエア彼氏である。 
タイトルに敬意を表して、空想の相手が男だろうが女だろうが、これ以降はエア彼氏の表記で統一させていただきたい。 
エア彼氏とは何か? 
考えるまでもなく、それは妄想の産物である。 
現実的にか物理的にかは個人によって違うだろうが、手の届かない相手を自分の内側で支配しようとする行為だ。 
妄想は楽しい。この意見に否定的な人はあまりいないだろう。 
妄想には限界がない。しかし、限界がないことが限界だとも言える。 
すなわち、妄想は現実ではないのだ。 
脳内にある大金を使える日は決して訪れない。 
妄想をはじめるのは自分の意思だが、終わらせるのもまた、自らの意思である。 
エア彼氏とたわむれる作中の登場人物たちも、ある時期で気づいてしまう。 
所詮、エアはリアルではないのだと。 
一般的な物語なら今後の展開を推測するのは実に容易だ。 
「彼らは不器用ながらも現実世界で生きることを選びました」もしくは 
「こんな僕にもついにリアル彼女ができました」のパターンである。 
まったくふざけている。 
なぜ三流雑誌に貼り付いている願いのかなう宝石の広告みたいな話をダラダラと読ませられなければならないのか。 

だが、中村九郎は違った。 
九郎は読者の耳元で、こうささやく。 
「突き抜けちゃえよ」 
妄想世界で生きる全ての者たちに、鬼才・中村九郎は新たな道しるべを突き刺した。 
ラスト三ページを読んでいる最中、私は頭蓋骨をカンナで削られていくような衝撃を受けつづけていた。 

「きみは間違っていない」 
否定や堕落が蔓延している現代社会で、この物語は容赦なくあなたを肯定する。 

おしまい。 

463 名前: イラストに騙された名無しさん 

余談。 
あとがきを読み終えた瞬間、私の脳裏に一つのメロディーが流れた。 
冒頭で紹介した「Seasons of Love」という曲がそれである。 
映画にもなった名作ミュージカルのメインテーマなので、ご存知の方も多いと思う。 
恐らく人生は想像以上に短くて儚い。 
そして時間は尊い。 
ふとした拍子に、人生を無駄遣いしているのでは?という不安に襲われるのは私だけだろうか? 
本作を読むために支払った120分という代償は決して戻ってこない。 
それに気づかせてくれただけでも、この本の存在意義は十分すぎるほどあった。 
中村九郎先生、本当にありがとうございました。 

(現在のエア彼氏が秋山澪の者より) 


一年は52万5600分 
この大切な52万5600分を 
あなたは何で数える? 
つけたレスの数? 
荒らしたスレの数? 
読破したラノベの数? 
それを壁にぶつけた数? 
この52万5600分という時を 
例えば……エア彼氏で数えてみてはどうだろう? 

「Seasons of Love」 
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4337842 


総スタック数   117冊

2009年度解決数  331冊