今日のプロ野球

2007年、広島の前田智徳外野手が一流の称号を手に入れる。残り94本に迫った2000安打。プロ野球界で34人、カープ生え抜きでは3人しかいない快挙へ「天才」と称されるバットマンが挑む。
休養する主力選手を横目に11月以降も打ち込んだ。「球に対する準備、バットの入れ方…」。打撃投手が投げた瞬間、2歩も投手側へ移動して打つ「ステップ打法」にも挑戦し、進化を求めた。

 そのアプローチは技術だけではなかった。シーズン中、中日の福留孝介外野手の打席に感じていた。「三振後も気持ちを入れ替えて、次の打席を迎えている。僕はどうしてもひきずってしまう」

 自分の弱さを認め、大胆な試みにトライする。打撃練習ではあえて凡打など嫌なイメージを頭に描いて打つようにした。「気持ち良く打つのは簡単。追い込まれた精神状態にしたかった」。秋季キャンプの練習前後、報道陣や関係者に不機嫌に振る舞ったのには、こんな理由もあった。


理想の打球を放つことにすべてをかけた男にとって、集大成の1年となる。「もう少しで、何かをつかみそうなんだ」。18年目で見つけた打撃の本質がある。「努力の天才」のバットは、いよいよ完成の時を迎える。

前田神はホントカッコイイ。惚れるわ。