- 作者: 森見登美彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/06/01
- メディア: 文庫
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京大5回生の森本は「研究」と称して自分を振った女の子の後を日々つけ回していた。男臭い妄想の世界にどっぷりとつかった彼は、カップルを憎悪する女っ気のない友人たちとクリスマス打倒を目指しておかしな計画を立てるのだが…。
私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
森見登美彦作品を読むのは初めて。
はてなで書いてるブログ(面白い)は読んでたけど。
『夜は短し歩けよ乙女』が見つからないので
5ヶ月ほど積んであったデビュー作を先に読む事にした。
ちなみに日本ファンタジーノベル大賞とは
ファンタジーとは名ばかりのキワモノ小説大賞である
(私的偏見。後、無駄にレベルが高い)
まさに乱読家の為の賞と言えよう。
∩ヾ∧,,∧ ⊂⌒(´・ω・) \つ⌒||⌒c wktk・・・ |←紀伊| | 国屋 | . ̄.|| ̄ ̄ オワタ┗(^o^ )┓ 三 || ┏┗ 三  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ______ |←紀伊| | 国屋 | □←森見登美彦既刊全部 . ̄.|| ̄ ̄ 三 ┏( ^o^)┛ || 三 ┛┓
こんなに笑った本は久し振りだ。
凝りに凝った文体がまたいいんだなぁ。
延々と繰り返されるバカ話。
「高い場所に置かれた物体は位置エネルギーを獲得する」
高藪が唐突に言った
「それが落下するときには、位置エネルギーが運動エネルギーに変換される」
「何をいっとるの?」
鍋の残りを突っつきながら、飾磨が怪訝な顔をした。
「もし精神が位置エネルギーを持つとしたら、落下するときにはエネルギーを放出するはずだ。
それを利用できればなあ」
我々は人類を救うことになる絶大なエネルギーを想った。挫折、失恋、死にいたる病、あらゆる苦悩が有益なエネルギーに変換され、自動車を走らせ、飛行機を飛ばし、インターネットは繋ぎ放題、アイドルビデオは見放題となる。これほど素晴らしい未来はない。そうなれば井戸のように過剰な苦悩を抱えるものが人類の救世主として脚光を浴び、暑苦しいポジティブ人間はまとめてお払い箱である。彼らの時代が来るのだ。
「僕はまずそのエネルギーをつかって、鴨川に座ってる男女を焼き払います」
-森見登美彦『太陽の塔』-
とあるサイトの
「滝本竜彦が書かないなら、森見登美彦を読めばいいのに」
は名言だと思った。
ボイルドエッグスで言えば、滝本竜彦と万城目学を足して割らない感じ。
これから玉吉はモリミストとして生きていきます。
我々は二人で頭をつき合わせては、容赦なく膨らみ続ける自分たちの妄想に傷つき続けて幾星霜、
すでに満身創痍であった。そうして我々は「世の中腐ってる」と嘆くのだったが、正直なところ、
時には、世の中が腐ってるのか我々が腐ってるのか分からなくなることもあった。
ともかく、我々の日常の大半は、そのように豊かで過酷な妄想によって成り立っていた。
かつて飾磨はこう言った。
「我々の日常の90パーセントは、頭の中で起こっている」
-森見登美彦『太陽の塔』-